金曜日。平日の昼から布団に寝そべる。窓を開け放つと部屋を風が抜けて気持ちいい。
コロナ陽性じゃなきゃ最高の休みなのに。子どもたちが罹患し、妻、僕と結局家族そろって自宅療養することになった。子どもたちは既に解熱し、長期のお休みを楽しんでいるけれど、近くのバァバん家に遊びに行けない、お出かけできないという不自由にストレスを感じはじめている。
土曜日の昼。夫婦ともに解熱し体調も戻りつつあるけど、夫婦ともに味覚が消えた。何を食べても心が動かないことの不健康さに立ち尽くしてまう。ホントは布団で横になって頬杖ついてこれを書いてるけど、でもこの状況はやっぱり立ち尽くすなぁ。食べることが僕のど真ん中であることがよく分かる。一日に三度、メシを食らうという楽しみがあったけどこれを奪われたのはショックだ。
色んなものを試食するうちに、味覚というよりは、嗅覚が消えていることに気づいた。一切匂いを感じない。匂いがつかないムシューダの匂いが万が一ついちゃっても今なら分からない。
風味と無縁の生活が始まってしまったなぁ。匂いがこんなにも味に影響を与えるとは。嗅覚異常が治ったら料理の香りをもっと楽しもう。
日曜日、子どもたちはパワフル。どけどまだ本調子ではないようで昼寝の時間が前倒しでやってくる。睡眠時間も長い。体力回復を図ってるのだろうか。息子を寝かしつけようと隣で背中をトントンしていたら、寝かしつけられたのは僕でした。昼寝したのなんて何年ぶりだろう。
昼寝から目が覚める。寝起きに妻がナニカの炒めものの味見をくれた。小松菜のニンニク醤油炒めらしいけど、塩気のあるナニカということしかわからない。妻の料理歴は二十余年を越え、調理と栄養管理を生業としているので、きっと今回の炒めものもウマいに決まってるんだけど、心からウマいと言えないのはちょっとキツイな。
冷静に考えるとニンニク醤油炒めってかなりパンチがきいてる味見だったなと思う。
「起き抜けにニンニク醤油かぁ」
「でもわからなかったでしょ?」
いい掛け合いでした。何だかおかしくなって妻と笑った。心は案外大丈夫なのかもしれない。
夜は早くに子どもたちが眠るので、いつもより時間がある。RAW現像やポートフォリオサイト作りの時間に充てようとPCを起動させたけど、体力が落ちてるのか30分くらいでギブアップ。それでもポートフォリオの一つの項目は写真群をまとめた。果たして除夜の鐘までにサイトは完成するのだろうか。まぁでも今はよく寝てよく休めってことなんだろうな。
月曜日。朝起きたら息子に変身ベルトを付けられた。僕は改造人間である。
上からメダルを装填すると、メダルに応じてタイプチェンジするらしい。最近のヒーローものはすぐにタイプチェンジするということを聞くことがあるが、仮面ライダースーパー1を思い出してほしい。腕パーツをタイプ別のものに換装するギミック。もうあの時代に存在していたことがかっこいい。タイプチェンジは今に始まったことではない。とりあえず、息子司令の指示によると、今日は土のメダルで司令のサポートをするらしい。こいつを装備して今日も家族の平和と健康を願い自宅療養するのであった。
お昼時。今日はマカロニグラタン。子どもたちが美味そうに食べている。久しぶりに家族同じテーブルを囲んで食べる(感染対策で孤食でした)念の為、いつもより距離をとって子どもたちとは別の方を向いて食べる。でも同じテーブルってだけで随分ちがう。
美味しいねぇ、と言う息子。僕は美味しいなぁと答える。味と香りがなくても楽しい食事になった。ごちそうさまでした。
今の僕にぴったりのアーティストの名曲をどうぞ。
念の為、書いときますが、保健所や小児科の指示に従って自宅療養生活してます。