朝焼け3.7

目の届く範囲の、日記みたいな写真を撮っています。

130円のストレージ


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乾燥機が回りはじめ、残り時間の表示がつくとその数字をそのままスマホのタイマーに打ち込んだ。

 

毛布やシーツなどの大物の洗濯を迫られることがある。選択を迫られる方がまだいいけれど、選択の余地はなく僕は洗濯機を回す。そして大抵コインランドリーへ駆け込むのがお決まりのパターンになっている。

週末ということもあって量が多い。ほんの少しいつもより時間がかかる。広めの駐車場の脇にある自販機で缶コーヒーを買った。ここでブラックをキメるのがいぶし銀でしびれちゃうけど、僕はカフェオレで。


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この駐車場で缶コーヒーを飲んだのは10年ぶりだ。その夜もたまたま乾燥機を回しに来ていた。洗濯物を入れ、車に乗り込もうとした時に突然友人から電話がかかってきた。「俺、父親になるんだ」今でも鮮明に彼の声色を覚えている。飲んでた缶コーヒーの銘柄なんて全く思い出せないけれど、この出来事は缶コーヒーを飲むたびに思い出す。


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そういう意味で僕にとって缶コーヒーは、写真と同じく自分の記憶外に思い出を保管しておく装置として機能している。ただ紐付いた思い出は友人との会話だけで、他の出来事は缶コーヒーには保存されていない。自販機の設定次第で割高なクラウドストレージにもなる。そんな取りとめないことを書いていたらタイマーがなった。少し遅れて乾燥機が止まる。毛布を乾かす時間は、僕が日記を書き上げるのにちょうどいいらしい。