川越撮影当日、目覚めは良好。妻と子どもたちにお土産の約束をして家を出た。
久しぶりの電車旅。電車に揺れる1時間半のあいだ、車窓の奥に霞む景色と、乗り降りする人たちをぼんやりと眺めていた。
思ったより人が多い。みんな少しずつ動きはじめている。春だからかなぁ、なんて季節の移ろいに気持ちを投影して切なくなる。年を取ったからなのか、写真を好きになったからなのか。
まもなくホームに到着します。降り口は右側、気の向くままお楽しみください。そんなアナウンスがなくても今日は存分に楽しめる。掲示板に流れる『川越』の文字に胸が高鳴った。イヤホンから流れる春の歌に背中を押されてホームへと降りる。
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既にお二人が集合場所にいることは分かっていたので、実際は春の情緒など感じる間はなかった。お花を摘みにトイレを経由で改札へダッシュした。
立ち話も何ですんで、の会話から自然に撮り始めた。気兼ねなく撮れる。水たまりや車、割れたガラス。そういうものに注意を払わなくたって、今日は泣く子はいない。自由を謳歌しました。
そしてありがたいことに、この日、花粉症の症状が一切でなかった。『日本の杉、全部焼く』とつぶやいていたお方をTwitterで見かけたけど、もしかしたらこの日やってくれたのかもしれない。
ピントが合っていなくても、撮れていてよかったと思う種類の写真がコレだ。楽しそうな二人。それが写っていればこの写真は100点だ。
ハンサムそろい踏み。
『俺より強い奴に会いに行く』
ストリートファイターⅡ、通称ストⅡのキャッチコピーだ。まさにこの日の僕の意気込みはコレ。俺より上手い奴を撮りに行く。実際はそんな血沸く血沸くって感じではなく、保護者会のノリで写真と育児とその他諸々を話すことができた心温まる時間だった。これもお二人のお陰だ。
しんいちさんがサッカー少年だったらきっとキャプテン翼みたいにどこでもサッカーボールを持っていくんだろうなってくらいカメラを持ってるのが自然だった。キャプ翼がいつでもボールを持ってるのが自然かっていうとシーンによってはウーン…とはなるけど、一般的に翼とボールはセットでしょ?それくらい自然に写真を撮っていた。この人、写真撮る人だねっていうのを周りが分かっている雰囲気があった。
息を吐くように撮る。お店の人や会計待ちで並んだ人と自然に話をされているのを見て、しんいちさんにとって撮ることは会話と同じ線上にあるものなのかなぁと感じた。そしてそこでカメラを構えるのが全くもって不快じゃない。
懐への飛び込み方と距離感というか。ぼくもそれにやられた一人だ。人懐っこさとはまた違う、うまく言葉にできないけれど、スラムダンクの仙道っぽさを感じた。あの、安心感とカリスマ性。そんでもって 写真家の幡野広志さんをしてベジータと評された写真の上手さと天性のセンスはまさに仙道のそれって感じがした。
これは豆知識ですが、ベジータと仙道の表記を入れ替えても文章がわりと成り立ちます。
めじろさんは、きっと機体がなんであろうと、きちんと最高出力でその機体の持ち味を生かすことができるエースパイロット的なものを感じた。どうせならガンダムあたりで例えたらいいんだろうけど、僕はガンダムをよく知らない。知っているキャラはシャアとアズナブルくらいだ。
カメラ・写真への知識が深い。そして知識の範囲が写真に関することだけでなく半端なく広い。今までTwitterのスペースでその博識ぶりは見聞きしていたけれど、実際に話してみるとやっぱりすごかった。なんの話題でも『え、それ知ってるんですか』ということが多々あった。人としての厚みの違いを感じた。面の皮と腹回りを厚くしている場合ではない。
『写真は自分というフィルターを通して出力されたもの』というニュアンスのものをよく耳にする。その上で めじろさんの写真を見る、カメラへの理解と興味関心の向く先々で得てきた見聞が表れているんだろうなぁ。
UNAGI TIME
お二人も、自腹うなぎは今回は初めてと言っていたけれど、何を隠そう僕も初の自腹うなぎだった。なんかよかった。うなぎのハードルが結構同じ位置にあってほっとした。関東は背開きらしいから、自背うなぎです。うなぎの代わりに僕らが腹を割って話せてよかった。
ごちそうさまでした。
次回、スイーツ編