
先日、春って感じがしたので庭でコーヒーを淹れてのんびりしていた。窓から聞こえる子どもたちの声が賑やかで心地がいい。
ベンチに横になって空を眺めると雲が一つもない。目の前に広がる青い色を見ていると、空という字が「からっぽ」や「ない」という意味を持っていることが何となく分かるような気がした。つい、有意義な休日を、と考えてしまうけど、たまには何もしないことを実行するのも悪くない。雲のかわりに今日は僕が宛てもなく漂うことにした。


確実に、冬から春へと変わっている。

部屋での遊びに飽きた娘が庭に出たきた。「お散歩 いこーよ」と僕の手を引いて歩き出した。僕から散歩に連れ出すことはあったけど、娘の方から言い出すのは初めてな気がして僕はとても嬉しかった。


散歩はいい。何がいいって、あてのないところだ。ウォーキングじゃない、そぞろ歩きだ。そして散歩の相棒は小さい子がいい。目の前を蝶が横切れば蝶を追いかける。猫を見つければ撫でに行く。娘と一緒にいると大人が見逃している景色を見つけることができる。




お互い前を向き、歩くついでにポツポツとおしゃべりをする。4歳のおしゃべりに起承転結はなく、転転転転だ。それでも、以前に比べておしゃべりが上手になってきた。登場人物も増えたし、レナちゃんだと思っていた子がエナちゃんだとハッキリ教えてくれた。この一年の間に、小さいながらも彼女の社会ができて、そこでちゃんと生きている。たどたどしいけど、大人とやってることは同じだ。
時に笑ったり、ほっぺを膨らませたりしながら一生懸命何かを伝えようとしてくれる姿が何とも可愛らしい。僕がほっぺを膨らませて喋ったらヤバい人だけど、誰かに理解してもらう努力というのはいくつになっても求められる姿勢なのかもしれない。



タマネギかな?野菜を育てるようになって、近所の畑にも興味が湧くようになった。今まではただ『畑』としてだけ見ていたものが、より厚みのあるものに変わってきた。水やりはいつどれくらいだろうか、間引いたりするんだろうか、とか。興味を持つと一つの事柄でも色んな視点から見るようになるんだな。



オトも入ってみて、と言われた。なるほどこれはいいね、と言っても特に反応がない。何か試されているのか?会話のキャッチボールを求めてはいけない。

そろそろ帰ろうかというタイミングで、おんぶ。お決まりのパターン。
ある意味、待ってました、の展開だ。





ミラーがある。お決まりのパターン。

娘も、僕もお腹が空いた。時計を見るとそろそろお昼ご飯の時間だった。1時間半以上散歩をしていたようだった。娘がこんなに歩けるとは思っていなかったにで驚いた。そしてすごいね、と褒めまくったのだった。
家が見えてきて、娘が僕の手を握った。

手をつなごう。

やわらかい風が吹く。前よりも優しくなって、見たことない顔で笑う。

そんな歌があったな。
「散歩楽しかった」と娘が妻に話しているのを聞いて、思わず娘にありがとうと言った。