トンビが空を真横に滑る。雲の端が棚引いているのが見えた。突然の風に運転する車体を煽られてハンドルをしっかり握った。今年も からっ風の季節がはじまる。
まだ風が乾ききっていないようなので、風の季節は序の口なんでしょう。それでも木枯らしが吹いたせいか、庭の色合いが冬へと向かっている印象があった。今日はZ5にZenzanon 100mm F2.8を付けた。
以前このレンズを付けた時はブロニカの感覚をデジタルでも味わえないか、ということのみが頭にあった。
結果として、やっぱり中判たる所以はフォーマットとしての強さなんだ、というのが個人的な感想。中判フィルム機の描写をデジタルで味わうには、中判デジタルか、フルサイズでもフラッグシップ機とかの描写が必要なのかなと思った。根拠はないけれど、なんとなく。
Z5にブロニカのレンズを付けたのも、思えば1年近くしていなかった。先日ある御仁からハシモトさんは中望遠も合うかもよ、とそそのかされてアドバイスをもらった。
中望遠ないからレンズ買うかぁ、と遠い目をしていたんどけれど、急に頭の中にゼンザノンがあるじゃんと閃いた。ブロニカの再現のことで頭がいっぱいで、中望遠レンズとして見ていなかった。もったいないことをしていた。そんなわけで、一年ぶりにゼンザノンをZ5につける。
カメラ/アダプタ/レンズだけじゃなくて、ブロニカのレンズはヘリコイドも一緒に付けないといけない。その分重い。この重さに関してはブロニカをよく再現してると思う。でも、当時4歳の息子が持てるから、軽いレンズであると思いこんで使っている(重い)
前回はブロニカに寄せるため、トリミングでスクエアにしていたけど、今回はいつもの感じで。ただ、普段ほとんど撮ることがない縦構図が多かった。縦構図のほうが、日の丸構図で撮りやすくて視点の先が6×6判の写真に似てるかなぁなんて思った。結局、ブロニカでの撮影を意識しちゃってる。
この一枚は、なんかいいな。この感じの現像が好きなんだろうな。しっとり陰を出して光が当たってる部分だけを掬い取るようなイメージを心がけるとこんな感じになる気がする。古いレンズの描写がいい仕事をしてくれたのかもしれない。仮想ブロニカ用のレンズとしてではなく、中望遠レンズとしてのZenzanon100mm、いいレンズだと思う。
今、レンズを買ったときの、あの昂揚感にも似た感情が押し寄せている。これからいよいよ僕の好きな季節がはじまる。この冬も写真を楽しめそうだ。