皆既月蝕の日の朝、もう朝だよと息子に言われ時計を見ればまだ3時。BUMPが天体観測を終えたぐらいの時刻です。まだ夜だわオーイエーアーハン。
ここ数日、月蝕を見るのをとても楽しみにしていたから、目が覚めてしまったんだろうな。何とかなだめて眠ってもらったけど、5時には完全に目が醒めたもよう。
「今日は早く帰ってきてね」なんて目をキラキラさせて言ってくる。地上の星だ。
子どもたちの言葉に背を押され、なんとなく仕事中もソワソワして夜のことを考えてた。いつもよりちょっとスピードあげて仕事にかかり、定時で帰路へつく。もしかしたら息子より僕の方が天体観測を楽しみにしていたのかも知れない。
ただいま、と玄関を開けるとドアの向こうから帰ってきた!と嬉しそうな声がしてドタドタとお出迎えをしてくれた。
月蝕の時間が夕飯時とかぶるので、デッキにテント(サンシェード)を出してその中で夕飯を食べた。子どもたちも、もちろん僕も夜に庭で晩飯を食べることに気持ちが昂ぶる。月どころじゃないよね。この、ちょっと特別な感じがいいんだ。
僕も未だに父と天体観測した夜のことを覚えている。当時は確か小学生の低学年だったかな。近くの公園の芝生に寝袋持ち込んで二人で流星群を見た。正直言って、流星群のことは映像として思い出せない。
ただその代わりに父親の表情、寝袋の中の暖かさ、外気に触れる肌が冷える感覚はよく覚えてる。鮮明ではないけれど、色濃くというか確かさのある記憶として残っている。星よりも父と一緒に特別なことをしたって経験が嬉しかった。
空を見上げずこちらにカメラを構える僕が、思い出の中に立つ日はどんな夜空なんだろう。