朝焼け3.7

目の届く範囲の、日記みたいな写真を撮っています。

熾火

おじさん三人で七輪を囲む。バーベキューじゃなくて七輪会だ。

 

「万象お繰り合わせのご出席ください」と書かれた文書を職場で目にすることがある。約束を果たすということは、文字通りあらゆるものに都合をつけるということだけど、それがまぁ難しい。そういう年ごろになってしまった。くやしいことに、年をくうほど約束の難しさを味わう。身の回りの、のっぴきならない事情というのが案外多い。”のっぴき”というカワイイ字面とは裏腹にずいぶんと厄介だ。

ただそれでも、約束を先送りにしたところで待っていてくれる人がいるというのは、うれしい。幾度となくキャンセルに見舞われ、先送りに次ぐ先送りになった約束を数か月越しに果たすことができた。

 

天気は曇り。予想よりも冷え込んだ。炭火にあたっていないとぶるぶると震えてしまう。もちろん、二人に会いたくて会いたくて震えていたのも事実だ。曇りは"あいにくの天気"と言われがちだけれど、お陰でバーベキュー場はほぼ貸切状態だった。

 

 

キャンプギア一式はしんいちさんが用意してくれた。キャンプ、ちょっと興味あるけどまだ手が出ないって時に、よく分かってる人がいるのは頼もしい。若いときは、なんとなく自分で何でもできるパーフェクト超人みたいなものに凄さを感じたけれど、最近は何か好きなことにニコニコしながら取り組んでいる人に惹かれる。結局たのしんでやってる人は魅力的なんだろうな。

 

めじろさんのスキレット料理を楽しむ。鉄の熱伝導とかいうものの違いなんだろうか…今、みなさんの理想の食感を思い浮かべて欲しい。それがこれ。
すみっこに見えるのは海鮮のアヒージョ。塩加減がちょうどいい。七輪で炙ったバゲッドにこのアヒージョを乗せて食べて飛ぶ。めじろさんは相当な手練れだった。

 

 

「ヤカンは自分が持っていきますよ」豪語しておいて忘れた。しんいちさんが鍋で湯を沸かしてくれてことなきを得る。出発間際になって、コーヒー豆を計量してから持って行く方が楽じゃん、と気づき慌てて準備をしたら、ヤカンが頭の中から消えた。削除というよりフォーマットに近い忘れっぷりだった。ほんとすみません。

でも、手前味噌だけれどこの日淹れたコーヒーはすごくうまかった。味以外の要因も大きいけれど、うまかったなぁ。家族以外にコーヒーを淹れる経験ていうのと、外で飲むのが初めてだったけど、これはまたやりたい。

 

派手な炎をあげたり、勢いよく爆ぜたりする必要はない。熾火みたいに、芯で熱を持って、落ち着いている。そういう生き方が今はかっこいいかなと思うし、そういう人に、また会いにいきたいと思う。